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【養生】体では作り出せないビタミン&ミネラル

はじめに

色々な食品に含まれている栄養素ですが、その中でも今回は「ビタミン」と「ミネラル」について書いていきたいと思います。

 

体に必要なビタミン&ミネラル

ビタミンやミネラルはたんぱく質や脂質、糖質の分解や合成を助ける働きをします。両者とも健康の維持や体調管理には欠かせない栄養素ですが、自分の体では必要量を作り出すことが出来ません。そのため、食事からの摂取が必要な栄養素となります。

◎ビタミン

ビタミンは全部で13種類あり、大きく2つに分けることが出来ます。1つ目は水に溶ける水溶性ビタミン、2つ目は油に溶ける脂溶性ビタミンです。互いに性質が異なっており、体への取り込まれ方が異なります。

水溶性ビタミンは水に溶けるため、摂取しても体に残らず尿などから体の外へ排泄されれます。脂溶性ビタミンは油に溶けるため、摂取した後も体の中に蓄積されやすくなります。

以下にビタミンの名称と役割を簡単にご紹介します。

水溶性ビタミン
ビタミンB1:糖質からエネルギーを産生する等
ビタミンB2:脂質を代謝する等
ビタミンB6:たんぱく質を代謝する等
ビタミンB12:赤血球中のヘモグロビン生成を助ける等
ビタミンC:たんぱく質を作る等
ナイアシン:皮膚の機能を保持する等
パントテン酸:脂質や糖質、たんぱく質を代謝する等
ビオチン:脂質や糖質、たんぱく質を代謝する等
葉酸:たんぱく質や細胞を作る等

 

脂溶性ビタミン
ビタミンA:発育の促進、視覚の暗順応等
ビタミンD:カルシウムとリンを吸収し骨を作る等
ビタミンE:脂質の酸化を防ぐ、血液の流れを良くする等
ビタミンK:出血時に血液を固めて止血する等

 

◎ミネラル

ミネラルは「無機質」とも呼ばれ、体を構成する元素から「酸素」「炭素」「水素」「窒素」を除いたものの総称です。ミネラルは全部で16種類あり、主要元素と微量元素に分けられます。

以下にミネラルの名称と役割を簡単にご紹介します。

主要元素
カリウム:血圧を調整、浸透圧の維持等
ナトリウム:浸透圧の維持、pHの調節等
塩素:胃酸の成分、浸透圧の維持、pHの調節等
カルシウム:骨や歯の成分、筋肉の収縮等
マグネシウム:神経の興奮を抑える等
リン:骨や歯の成分、エネルギーの代謝等
硫黄:体(皮膚や毛髪など)の組織を作る等

 

微量元素
鉄:ヘモグロビンの成分、酸素の運搬等
銅:酵素の構成成分、鉄を場所に運ぶ役割等
亜鉛:酵素の構成成分、味覚を正常に保つ等
マンガン:酵素の構成成分、骨の形成等
コバルト:ビタミンB12や補酵素の構成成分
クロム:インスリンの働きを高める、糖質の代謝等
ヨウ素:甲状腺ホルモンの構成成分
モリブデン:補酵素の構成成分
セレン:酵素の構成成分

 

ビタミン&ミネラルが不足すると起こる症状

ビタミンとミネラルの役割を簡単にご紹介しましたが、これらが慢性的に不足すると次の様な症状が起こることがあります。不足する原因としては、野菜嫌いなど主に偏った食生活が挙げられますが、ストレスや煙草、お酒、無理なダイエットなどが原因となることもあります。不足することで起こる症状を「欠乏症」と呼んでいます。

欠乏症(一部)
ビタミンB1:眼精疲労、疲れやすい等
ビタミンB2:口内炎、皮膚炎等
ビタミンB12:末梢神経障害等

ビタミンA:夜盲症(暗い場所で見えにくい状態)等
ビタミンD:骨粗鬆症等
亜鉛:味覚異常等
鉄・銅:貧血等

 

サプリメントはあくまでサポート程度

欠乏症の対策で思い浮かぶのはサプリメントですが、含有量は決して多くはありません。対策の基本はバランスの良い食事ですので、食事の偏りがあったり、時間が無くてあまり食べられなかったりした際のサポートとしてお使い頂く分には問題ありません。

ビタミン&ミネラル含有食品例
ビタミンB1:大豆、豚肉
ビタミンB2:レバー、卵、納豆
ビタミンB12:あさり、しじみ、レバー
ビタミンA:緑黄色野菜、うなぎ
ビタミンD:しらす、鮭、しいたけ
亜鉛:牡蠣、卵、ごま
鉄:レバー、パセリ、しじみ
銅:ココア、ナッツ類

 

◎食品から上手に摂るコツ

水溶性のビタミンは水に溶けやすいので、水にさらし過ぎたり、洗い過ぎたりしないようにしましょう。また、調理した煮汁にも流れ出ているので、煮汁も上手く利用しましょう。

脂溶性ビタミンは油に溶けやすい性質があるので、緑黄色野菜は植物油で炒めるなどして、それぞれを豊富に含む食品をいっしょに摂ると効果的です。

ビタミンは全体的に光に弱いので、保存の際には光をさえぎる容器に入れるなどの注意が必要です。

◎欠乏症の症状が起きている場合

サプリメントで補うにはあまりにも含有量が少ないため治療薬となることはありません。また、含有量が少ないからと言って、個人の判断でサプリメントを過剰に摂取すると、知らない内に過剰摂取になる可能性もあります。過剰摂取による症状(過剰症)もありますので、症状にお悩みの方は自己判断せずに、お近くの医師や薬剤師に一度ご相談ください。

まとめ

繰り返しになりますが、ビタミンやミネラルは体内で作ることができないため、食事から摂取しなければなりません。しかし、どのビタミンやミネラルが不足しているのかは自分ではなかなか気が付きません。特定の食品ばかり食べていると当然、不足するビタミンやミネラルが出て来てしまいますし、偏ったビタミンやミネラルの摂取は過剰摂取になる可能性もあります。やはり、バランスの良い食事が健康の基本となります。

食生活が乱れている方は体調不良になる前に、食生活を一度見直してみましょう。

 


【参考文献】
吉村學・佐藤良暢編(1994)『臨床病態学』第二版,南江堂.
浦部晶夫・島田和幸・川合眞一編(2016)『今日の治療薬(2016年版)』第三十八版,南江堂.
阪口珠未(2013)『毎日使える薬膳&漢方の食材辞典』ナツメ社.