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【養生】生活習慣を見直すことから


生活習慣病とは


生活習慣病とは1つの病気を指すのではなく、不規則な生活や運動不足、偏った食事などによって起こる病気の総称です。具体的な病名を挙げると、高血圧症、脂質異常症、糖尿病などがあります。これらの病気自体が致死的な病気となるわけではなく、これらの病気によって引き起こされる病気が問題となります。例えば、心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病性腎症などがあり、日本人で最も高い死亡原因比率である「悪性新生物(がん)」も含まれます。

高血圧症、脂質異常症、糖尿病に関してはほとんどの場合、自覚症状が出ないため健康診断などで異常値が指摘されても放置されてしまうことがあります。そのため、自覚症状が出た時には既に病気が進行している状態になっていることが多く、これらの病気によって動脈硬化(血管が硬くなる)が進み、動脈硬化によって引き起こされる病気(心筋梗塞や脳梗塞など)のリスクが高くなっていることがあります。

 

◎高血圧症

高血圧症とは血圧(収縮期血圧、拡張期血圧)の高い状態が続く病気です。年齢や基礎疾患によって目標数値が決められているので、その数値を超えてしまうと高血圧症となります。先程も述べましたが、血圧が高くても自覚症状は出ませんが、血管への負担はかかっているため動脈硬化が進んでいきます。

 

◎脂質異常症

脂質異常症は、血液中にある血清脂質値(LDL、HDL、TG)が異常値を示す病気です。かつては「高脂血症」とも呼ばれていましたが、善玉コレステロール(HDL)は数値が高いほうが良いため、名称が脂質異常症に変わっています。悪玉コレステロール(LDL)、中性脂肪(TG)の高値は自覚症状はありませんが、高血圧と同じく血管への負担がかかるため動脈硬化が進んでいきます。

 

◎糖尿病

糖尿病は、血糖値(血液中の糖分)が慢性的に高くなる病気です。健康な人の場合、食事を摂取すると血糖値があがり、血糖値の上昇に伴ってインスリンというホルモンが分泌され、血糖値は徐々に下がっていきます。このインスリンの働きが何かしらの影響でうまく働かないと血糖値は慢性的に高くなってしまいます。血糖値が高い状態が続くと、上記の病気と同様に動脈硬化が進んでいきます。

 

生活習慣病は毎日の生活に大きく左右されるので、生活の内容に大きく影響します。では、そのためには何に気を付ければいいのでしょうか。

 


日常生活で気をつけること


生活習慣病の治療の基本は食事療法と運動療法になります。つまり、食事と運動をメインに考えて日常生活を見直していく必要があるわけです。当たり前ですが、生きていくためには毎日の食事は欠かせません。その食事の内容や量によって、必要以上に摂取されている部分をコントロールしていくことと、摂取した食事に応じて適切な運動を行っていくことで血管を健康な状態に保ち動脈硬化を防ぐことができれば、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを減らすことが可能になります。

 

◎食事

食事は自分の好みや味付け、ライフスタイルに反映されるため、まずは日ごろ食べている食事の内容を見直してみましょう。例えば、野菜よりも肉類が好きであったり、薄い味よりも濃い味の方が好きであったりする場合などです。改善するポイントは沢山ありますが、まずは次の内容に注意することで、食事に関する生活習慣の改善が期待できます。

・米や麺類などの炭水化物より先に、野菜や肉類、魚類を食べる。(血糖値の急激な上昇を控える)

・塩分摂取を控える。(麺類や練り製品、ウインナーなどには思っている以上に塩分が多く入っている)

・間食を控える。(菓子類には塩分や糖分が大量に入っているので注意)

・満腹になるまで食べない。(必要以上の量は摂取しない)

・動物性脂肪である肉類や卵などのとり過ぎに注意する。(中性脂肪、LDLコレステロール値が高くなる)

・食物繊維をしっかり摂る。(食物繊維の不足も生活習慣病に影響する)

・極端な食事制限をせず、1日3食しっかりと食べる。(栄養のバランスを考える)

 

◎運動

毎日の適度な運動は肥満対策や体重管理にも繋がります。また、適度な運動は善玉コレステロール(HDL)を増やす効果もあります。善玉コレステロールは、血管内に沈着したコレステロールを抜き取り、動脈硬化の進行を抑えるように働いてくれます。適度な運動とは具体的には次のような内容となります。

・歩行や軽いジョギング、サイクリングなど(運動負荷があまりかからない有酸素運動にしましょう)

・1回20分~30分、週3回程度(食後を避けて、無理なく継続できる範囲内)

・夏場は熱中症などの危険性もあるため涼しい時間帯を選ぶ(水分補給も忘れずに)

仕事や勉強などで時間がなく、毎日運動ができないという人も多いと思いますので、次のような取り組みをすることで、生活の中に運動を組み込むことが出来るようになります。

・エレベーターやエスカレーターを使わずに階段を使う。

・通勤や通学時にひと駅手前で降りて歩く。

・仕事や家事の合間にストレッチ体操を行う。

※現在、何かしらの病気にて治療中の方は病気の種類によっては運動制限がある場合がありますので、事前に主治医にご確認ください。(特に心不全や不整脈、腎臓の病気にて治療中の方は運動療法の適応がない場合があります)

 


まとめ


生活習慣の改善は毎日続けることが必要で、ある一定期間だけ行うことは生活習慣の改善とは言いません。出来る範囲内で長く続けれらる方法を自分で見つけ出してください。また、食事や運動以外にも喫煙や飲酒、睡眠なども大きく影響しますが、まずは食事と運動での生活習慣の改善に取り組みましょう。異常が見つかる前に取り組むことで、病気になるリスクを未然に防ぐことが出来ます。現在治療中の方は主治医とよく相談してから始めましょう。

 


【参考文献】
山内豊明監訳『イラストでわかる病態生理-なぜ症状が現れるのか』青山弘訳,総合医学社.
大森一慧(2008)『からだの自然治癒力をひきだす食事と手当て-新訂版』サンマーク出版.
吉村學・佐藤良暢編(1994)『臨床病態学』第二版,南江堂.
戴毅監修(2000)『全訳中医基礎理論』淺野周訳,たにぐち書店.